はじめに
私が日本で英語を勉強していた時は、イギリス人の先生が多かったのでイギリス英語を学んでいました。でも、ジャズを勉強するためにアメリカに来たので、単語の綴方が違ったりして初めのうちは戸惑った経験があります。
このブログはジャズヴォーカルの勉強の為の英語の発音を解説しているので、アメリカ英語の発音を基本にしています。BBCのニュースやCNNのニュースをご覧になれば分かるように、イギリス英語とアメリカ英語はサウンドが異なります。単純な違いを挙げるなら、イギリス英語の母音が口を縦に開けるのに対して、アメリカ英語は横に広げる傾向があります。
テキストや辞書メーカーによって発音記号の表記が若干異なっている場合があります。日本、アメリカでも若干の違いがあります。辞書によっては発音記号が英米2種類の発音以外にも記されている場合もあります。このjazz恋ブログではアメリカのニュースキャスターが話す様なアメリカ英語の標準語を念頭に入れています。
参照している辞書
- リーダーズ英和辞典(研究社)
- Oxford Advanced Learner’s Dictionary (Oxford University Press)
- Weblio辞書英和辞典・和英辞典(オンライン英語辞書)
日本語には無い英語の母音の発音記号
さあ、それでは早速その他の母音の発音記号を見ていきましょう。vol.1では日本語の母音「あ、い、う、え、お」に対応する英語の五つの母音”ɑ, e, i, ɔ, u”の発音記号を使いながら、英語の母音を発音するときの口の開け方を練習しました。次は日本語には無い英語独特の母音を発音記号を見ながら習得して行きましょう。
”æ” [”e”の口をして”ɑ”と言ってみよう]
この記号は”a”と”e”がくっ付いた音の形と覚えてください。この発音記号は”e”の口をして”ɑ”と発音するのがコツです。鏡を見ながら実践してくださいね。
辞書や参考書を見ると、発音記号では“a”と”ɑ”をよく見かけます。どちらも日本語の「あ」に対応する発音記号ですが、この二つの違いは口腔の開け方は同じで“a”の方がはっきりと喉の奥から明瞭に発音する音を表しています。単語では母音から発音するのか、前に子音があるかに影響されて、自ずと母音には強弱がつくので、この二つの音の区別は特にこだわらなくても大丈夫です。特徴だけ覚えておいてください。
- まず鏡を見ながら”ɑ”と”e”をそれぞれ発音して確認しましょう。
- ”e”の口からスタートです。卵が横に長く入っているイメージ。多少唇が横に広がっても大丈夫です。
- その口で喉の奥から”a”若しくはハッキリと”ɑ”の音を口の中で出してみましょう。
”ɑ”は口の中が丸い「ア」なのに、”æ”は口が横に広げながら「ア」の音なんですね。最初に「エ」と小さくいってから「ア」と続けて発音すると説明している発音のテキストもあります。ゴールはネイティヴのサウンドに近づく事なので、自分の口の筋肉を動かすのにあったイメージを持つことが大事です。自分で納得するまでやってみましょう。自分の口でサウンドが作れてしまえば、意識しなくてもすぐに発音できるようになります。
”æ”を使った単語の例
単語 | 発音記号 |
an | æn |
apple | æpəl |
cap | kæp |
hat | hæt |
sad | sæd |
”ə” [”ɑ”の声を後ろに出そう]
声を口から外へ出さずに後ろに出そうと思うと、声が口の中の口蓋に当たって口の中で響くはずです。
- まず鏡を見て口の開け方を意識しながら”ɔ”の発音をして確認しましょう。
- ”ɔ”の発音をする口がスタートです。自分の口蓋(口の中の上顎)又は、鼻の裏側に当てるイメージで短く”ɑ”と発音して見ましょう。
- ”ɔ”と”ə”を交互に何度も発音して練習しましょう。
- ちょっと難しいですが、コツは口の下顎の顎関節に近いところを微妙に引きながら出す感じです。
日本人でも会話の中で躊躇している時に、何気無くこの音を発しているときがあります。又、地方の訛りなどに類似した発音を聞くこともあるでしょう。でも日本語の標準語ではこもった音を特定して言語を判別してないので、日本人にはこもっているかいないかを聞き分ける能力が育っていません。自分で発音してその違いがわかるようになれば、自然にネイティヴの発音も聞き取れるようになるわけです。
”ə”を使った単語の例
単語 | 発音記号 |
up | əp |
about | əbaut |
the | ðə |
ago | əɡou |
above | əbʌv, əbəv |
その他の母音、類似している母音の発音記号
ここでは基本の五つの母音を強く短く発音する場合に使われている記号をまとめました。基本の五つの母音をマスターして入れば、すぐに発音できると思います。“ɛ”は辞書によっては使われない記号ですが、日本の辞書には載っているので記しておきました。また、二重母音については単母音の組み合わせの発音なので、二重母音の説明はこのブログでは割愛します。
“ʌ” [“ɑ”を鋭く短く発音]
“ɑ”の仲間でこの記号の通りとんがった音のイメージです。前出のメモ欄で”a”は”ɑ”の音を明瞭にサウンドさせる記号と説明しました。この“ʌ”はさらに強く短く瞬発的に発音する記号です。この発音記号はどの辞書でも”a”よりも出てきますので必ず覚えましょう。
単語 | 発音記号 |
but | bʌt |
cut | kʌt |
luck | lʌk |
stuck | stʌk |
funky | fʌŋki |
“ɛ” [“e”と置き換えられる発音記号]
この“ɛ”の発音記号を使わず”e”で記載しているテキストブックや辞書もあるので、“e”と置き換えられる発音記号です。“e”を強調して口の奥から吐き出す様にはっきりと発音することを表している発音記号です。
単語 | 発音記号 |
ever | ɛvər, evə(r) |
yes | jɛs, jes, |
bed | bɛd, bed |
kettle | kέtl, ketl |
letter | lέtər, letə(r) |
“ɪ” [“i”を強くはっきり発音]
“ɪ”は”i”の発音を強くはっきりと発音することを表しています。この発音記号は比較的どの辞書にも出てきますので覚えておきましょう。“i”よりも強く出そうとするので、頬骨や鼻が少し引き上がります。
単語 | 発音記号 |
it | ɪt |
big | bɪɡ |
minute | mɪnɪt |
wish | wɪʃ |
ink | ɪŋk |
“o” [唇を突き出して”ɔ”と言う]
“o”はどちらかと言うと、大げさに唇をすぼめて発音する日本語の「お」に近いです。”ɔ”が口を丸く開けて「オ」と発音したのに比べると、この記号の様に唇を丸くして少し前に突き出して”ɔ”の発音をするイメージです。アルファベットの“O [oʊ]”の様に二重母音で使われることが多いのが特徴です。イギリス英語では”ə”で置き換えられる様ですが、オックスフォード辞典にも米語発音として載っているので覚えておきましょう。
単語 | 発音記号 |
O | oʊ |
oh | oʊ |
boat | boʊt |
road | roʊd |
yellow | jeloʊ |
“ʊ” [強く短く”u”と言う]
“ʊ”も考え方は”o”と同じです。”u”の発音を大げさに唇を動かして発音するイメージです。“o”の唇よりも更に唇をすぼめて、喉の奥から短く強く”u”の発音をしましょう。
単語 | 発音記号 |
good | ɡʊd |
book | bʊk |
should | ʃʊd |
wood | wʊd |
look | lʊk |