2019年1月の初旬、Jimmy Heath Big BandのライブがBlue Note NYで行われました。ジミーは現在92歳。毎年彼の誕生月である11月には、ブルーノートで彼のビッグバンドで出演するのが恒例でしたが、今年は気持ちも新たにお正月明けの出演となりました。実際演奏を聞いて驚きました!もちろんレパートリーは全曲彼のオリジナルでおなじみの楽曲の数々ですが、全て新しいアレンジメントとなっていました!
Ginger Bread Boy, Gemini, A Sound for Sore Ears, Togetherness, Fiesta Mojo, A Sassy Samba, etc…
数年前からジミーは長時間フライトや移動の多いツアーの仕事は控えていますが、コツコツと自分のビッグバンドのレパートリーのスコアを新たにアレンジし直していたんです。彼はスコアをフィナーレというソフトを使ってデスクトップのmacで作ります。彼の年齢を考えると、4日間と以前よりは(以前は6日間興行でした。)短くはなりましたが連日興行は誰の目から見てもかなりタフです。ジミー本人も、
Blue Noteはこれが最後かな〜?
と最終日に話していました。NYの老舗ジャズクラブは階段がつきもの。ブルーノートは控え室が2階にあるので、登ったり降りたりが辛くなって来たそうです。でもステージでは演奏する時は彼は全く座りません。ビッグバンドなので楽器はずーっと演奏するわけではないけれど、ずーっと立ちっぱなしでMCをしたり、両腕を振り上げてコンダクトします。一晩に一時間強のステージを2回です。これはかなり体力いりますよね。
そんな彼の気持ちを察したのか、第一線で活躍しているNYのミュージシャン達が忙しい時間をやりくりして勢揃いしました。ソロでも活動するミュージシャンを週単位で抑えるのってやっぱり難しいんですよね。通しで出演出来るメンバーもいましたが、それが出来ないメンバーは数日参加で入れ替わります。楽屋でも帰り際に、
「明日は誰?」
「〇〇が来るはず、私は次は日曜日に来ますよ。Good Night Jimmy!」
なんて会話も飛びます。でも、流石に層の厚いNYですから、いきなり初見でビッグバンドのスコア見て演奏できちゃうんですよね。ステージ上でいきなりジミーからアドリブソロ演奏も指示されたりします。私は2日目のセカンドセットと最終日のファースト&セカンドセット通しで観てきました。ファイナルナイトのラインナップは。。。
- ビッグバンドのアンサンブルの要、NY最強と言っても過言ではないトロンボーンセクション(左から)
- スティーブ・デイビス
- ジョン・マスカ
- ジェイソン・ジャクソン
- ダグラス・プロヴァイアンス
*ジョンとダグラスはヴィレッジヴァンガードオーケストラでも演奏しています。
サックスセクション(左から)
- ボビー・ラヴェル (Ts)
- シェリル・キャシディー (As)
- マーク・グロス (As)
- サム・ディラン (Ts)
- フランク・ヴァシリ (Bs)
*シェリルはツアーで不在だったアントニオ・ハートのピンチヒッターでした。彼女も今や一児の母です!
全員がほぼハイノートヒッターのトランペットセクション(左から)
- ディエゴ・ウルコラ
- グレッグ・ギズバーグ
- フランク・グリーン
- マイク・モースマン
*この日はフレディ・ヘンドリックスがツアーで不在。フランク・グリーンはアメリカでも最強のハイノートの職人でテレビでも引っ張りだこ。以前こっそり聴いたのですが、彼の歯は抜けた事もなく健康そのものだそうです。
写真には残念ながら、ドラマーが写っていませんが(ごめんなさい、エバン)。。。フロントを支えるリズムセクション
- ジェブ・パットン (P)
- マイク・カーン (B)
- エバン・シャーマン (Ds)
*マイクはこの日はデイビッド・ウォンのピンチヒッターでした。
ジミーが85歳を過ぎる頃から、主人のジェブ(ピアニスト)が送り迎えをするようになりました。もう、かれこれ20年近くThe Heath Brothersやビッグバンドのピアニストを担当しているので、もう家族ですね。私も一緒に出かける時は楽器持ちです。ジミーは若い頃から車が大好きで、運転も大好き。80歳過ぎまで現役で、恐るべき交通事情のNYCで運転していたってことになりますよね。小柄な彼はスポーツカーやワーゲンビートル等色々乗って来ましたが、最後の愛車は大きなVOLVO。私も何度か彼の運転するVOLVOで演奏旅行にお伴しました。
人生100年時代を身を以て実証しているジミー・ヒース。このまま100 Years Celebrationができたら素晴らしいですよね。2018年暮れには最新のビッグバンドアルバムのレコーディングがありました。リリースは未定なので情報はまだないのですが、兎に角メンバーが最強なのでリリースがとても楽しみです。
彼のオートバイオグラフィー、“I Walked With Giants”は英語の本ですが、ジャズファンで英文を読むのが大好きな方にお勧めします。とても興味深い貴重な写真も挿入されています。ジャズジャイアンツと呼ばれる名だたるミュージシャン達と歩んだ彼のジャズ道とも言える人生を一緒に辿ることができますよ。巻末にはちょっとしたオマケもあります。